2.21世紀前半のわが国の高齢化
2025(平成37)年に認知症を生きる高齢者の数は約700万人に達し,国民の17人に1人が認知症の時代を迎える[1] … Continue reading.
図0-1は,国立社会保障・人口問題研究所が公表しているわが国の高齢者人口と高齢化率の将来推計である[2] … Continue reading. 2010(平成22)年の時点で,わが国の高齢者数は約2,948万人(高齢化率23.0%)であったが,2025(平成37)年には3,657万人(30.0%),2042(平成54)年にはピークに達して3,878万人(37.0%)となるものと予測されている.その後,高齢者人口は減少しはじめるものの,少子化の影響もあって,高齢化率は伸び続け,2060(平成72)年には高齢化率が約40%になるものと推計されている.
このようなわが国の高齢化の進展は,75歳以上の後期高齢者の増加によるものである.推計によれば、2017(平成29)年に,後期高齢者の比率は前期高齢者の比率を上回り,その後も右肩上がりに増加しつづけ,2035(平成47)年には国民の5人に1人,2051(平成63)年には4人に1人が後期高齢者になる(図0-2).
このような後期高齢者の急速な増加は,認知症高齢者の増加と深く結びついている.それは,年齢が5歳階級上がると認知症高齢者の有病率はおよそ2倍に増加するからである[3]朝田隆「認知症の人はどのくらいいるのか」粟田主一編「認知症―地域で支える」『こころの科学』161,12~16頁,2012..厚生労働科学研究の認知症有病率調査結果[4] … Continue readingに基づく認知症高齢者の将来推計によれば,2025(平成37)年の段階で675万人(高齢者人口の18.5%),糖尿病の有病率増加によって各年齢の認知症有病率が上昇した場合には730万人(高齢者人口の20.0%)に達するものと報告されている(表0-1)[5] … Continue reading.
すなわち,21世紀前半に,われわれは認知症高齢者700万人の時代を確実に迎えることになる.限られた資源,限られた時間,限られた空間のなかで,すべての国民が,たとえ認知症になっても安心して暮らせる地域社会をつくり出していくためにはどのような仕組みが必要か.国として,地域として,家族のこととして,自分自身のこととして,このことを真剣に考えていかなければならない時代を私たちは生きている.
参考文献